みなさんは「情報処理安全確保支援士」という資格を知っていますか?
情報処理安全確保支援士はセキュリティのスペシャリストであることを証明する国家資格です。合格後に登録をすることで士業とすることも可能な資格です。
この記事では情報処理安全確保支援士について徹底解説いたします。
今後セキュリティ人材の必要性が高まっていく可能性が高いため、キャリアアップのために参考にしてみてください!
サイバーセキュリティとは?
デジタル世界のセキュリティ
「サイバーセキュリティ」という言葉を知っていますか?昨今、企業がサイバー攻撃を受けて「個人情報の漏洩」や「サービスの停止」などの報道で、サイバーセキュリティという言葉を耳にする機会が増えてきました。
「サイバーセキュリティ」とは、端末やネットワーク上の情報システムを、ウイルスやサイバー攻撃、不正アクセス、データ漏洩などの脅威から保護するための技術や対策のことを言います。
私たちの生活は様々なデジタル技術に支えられています。サイバーセキュリティは、そのデジタル技術を裏から支える大切な要素です。
需要が高まっている分野
インターネットやクラウドサービスなどが急速に普及し、さまざまなことがデジタルに繋がるようになりました。便利になる一方で、サイバー攻撃の危険性は増しています。特に、重要インフラや企業の持つ機密データが攻撃対象になることが多く、もし攻撃が成功してしまうと、デジタル経済全体に大きなリスクを与えています。
また、ユーザー目線でも、個人情報(氏名、住所、生年月日、メールアドレス、電話番号など)を多くの会員サイトに登録をしており、これらの会員サイトが適切なセキュリティ対策を施していないと、個人情報の漏洩リスクが高い状態となります。
社会の発展にはデジタル技術が欠かせません。併せてセキュリティ対策を行う必要があり、サイバーセキュリティ人材の需要は高まっています。
情報処理安全確保支援士とは?
概要と位置づけ
(IPAサイトより引用https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/list.html)
情報処理安全確保支援士は、IPAが運営する国家試験の中でレベル4(最上位)のセキュリティスペシャリストとも呼ばれてます。
IPAでは情報処理安全確保支援士を「サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者」と定義しています。
IPA資格について、以下記事でまとめています。興味ある方は併せて参照ください。
試験スケジュールと試験方法
試験は春期(4月頃)と秋期(10月頃)の年2回実施しています。
全国各地の試験会場(大学など)で筆記試験の形式で実施。受験手数料は7,500円(非課税)です。
試験範囲と出題方法
情報処理安全確保支援士の試験は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後」の3科目です。
午前Ⅰ試験
四肢択一問題が30問出題されます。試験問題は応用情報技術者試験の午前問題と同様の範囲から出題されます。
また、午前Ⅰ試験には「科目免除」の制度があります。
「高度試験・応用情報技術者試験の合格者」「高度試験の午前Ⅰの合格者」が合格から2年以内に受験することが条件です。
午前Ⅱ試験
四肢択一問題が25問出題されます。試験問題は応用情報技術者試験の午前問題と同様の範囲のうちテクノロジ系とマネジメント系から出題されます。特に「セキュリティ」と「ネットワーク」が重点範囲です。
試験範囲は午前Ⅰ試験と被りますが、午前Ⅰ試験より難易度が高く設定されています。
午後試験
記述式の試験です。出題される4問中、2問を自分で選択し解答します。高度な「セキュリティの知識」と「国語力」が必要な試験です。
前提となる文章が長く、問題自体も知識だけでなく技能を問う形式の問題が多いことが特徴です。
合格点と試験難易度
「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後」の3科目をそれぞれ100点満点中60点を取ることが出来れば合格です。
セキュリティの高度な専門性が必要なため、試験難易度は「極めて高い」です。
情報処理安全確保支援士 取得メリット3選
士業資格である
情報処理安全確保支援士はIT資格の中で初めての士業資格です。資格試験合格後に登録することで士業として名乗ることが可能です。ただし、独占業務はありません。惜しいポイントですが。。
サイバーセキュリティ分野の高度な知識や技能を証明できる
セキュリティ対策、リスクマネジメント、法規制、脆弱性評価、暗号技術など幅広いセキュリティ分野の専門知識が合格には必要です。実務に即した問題が多く、応用力も求められているため知識だけでなく、技能面でも高度な能力を証明することが出来ます。
資格保持者は転職や昇進の時に、優位になるといえるでしょう。
中小・零細企業向けの士業資格との相性が良い
現状、情報処理安全確保支援士には独占業務はありません。そのため、情報処理安全確保支援士だけでは、資格取得のメリットが薄いと感じる人も多いでしょう。しかし、資格を掛け合わせるで、より価値のある資格にすることもできます。
サイバーセキュリティ対策を正しくしている大企業は増えてきましたが、中小・零細ではコストや人材面で対策が不十分な企業がまだまだあります。
昨今の脅威増加にともない、これらの企業に対してのコンサル業務を行うシーンが増えていくと予想されます。その時に、税理士や中小企業診断士、社会保険労務士などの士業資格と併せて持つことで仕事の幅を広げられるでしょう。
最後に
情報処理安全確保支援士は知名度がまだまだ低いことや独占業務が無いことは気がかりです。
しかし、セキュリティ対策の需要が高まっている今、かなりの価値のある資格です。情報処理安全確保支援士是非チャレンジしてみてください。